盲楚の姫

見えない男は王城のなかに出入りしている。牢獄を思わせる緑樹の隙間から、胎内のように思える湖から、その男はたびたび城にやってくる。
 男とまともに相対できる者は城のなかで静かに囀る<姫>だけ。
 そしてある修道女が犯され男がそれを見てから、ふたりの関係は、淫蕩に、凶悪に、変貌していく。姫――ライネ・ロート・バイエベルクはついに犯され、その肢体を見えざる男のまえに華ひらいていく。

さまざまな思いとともに。

ひとつのたしかな繋がりとともに。

性の宴と甘い毒は、静かに変化を始めた――